石岡ちゅうちゅう

茨城県石岡市のおまつり など諸々をつらつらと

石岡のおまつり 山車の梃子事情

石岡の山車は各町違いがあり多様でとても興味深いです。

昔は石岡系の山車・・ということでみんな基本的な作りは同じでしたのでしょう。
現在ですと幸町 森木町 守横町 大小路 泉町 富田町 青木町 がその系統でしょうか。

おそらく金丸町で江戸型のテイストが加わり香丸町でまた違った亜流が発生したと思います。
3層目がついたのでシルエットが変わりました
でも最初金丸の山車を見た時には当時小学生でしたので、すんごくでかく感じました。後ろなどは断崖絶壁にすら見えました。
若松町はやはりそのでかさでびっくりしました。
帝国海軍で言うと 空母 蒼龍・飛龍で見慣れたそのあとに瑞鶴・翔鶴 が出て来た・・・
否 わかりずらいのでやめますが
國分町は3層に見えて2層 でもでかい
中町は 梃子棒でのかじ取りではなくかじがつきました。

かじを切る際に使用する梃子棒は読んで字のごとくてこの原理で棒でこじって
左右かじを切る道具です。
今まではどこもだいたい同じような使い方をしていましたが、先述のように
山車自体の躯体が多様化してきたためそれに対応する梃子きりが生まれてきました。
いちばんわかりやすいのは中町のかじでしょうね
通称 かぶとむしのつの ですが けっこう操作が難しいようです。
それに道路上の障害物に車輪がぶつかった際のキックバックはとても危険との事。
つのがあばれっちゃーようです。

國分町は綱を引く方と梃子棒の連携により非常にうまく旧来の梃子棒操作をされています。
いわゆる前梃子がハの字書いてる状態です。
わがまっちょーはヤングメンズのパワープレーですね
あのえっがい山車では前梃子4本でないとコントロールできないでしょう。

さて他町に関しては詳しくないので間違ったことを書くと失礼ですので
香丸町で説明しましょう

香丸町の旧山車は赤と水色のカラーリングで竜宮城みたいでした。
梃子棒は前ハの字です。
当時は○香のはんてんを着た職人のおじさんがいて、梃子棒に手際よく綱をまきつけて
くれたり、いろいろなアドバイスを出してくれました。
1990年 今の山車が福島県からトレーラーで山新スイミングの所に到着して
さて動かそうかといったとき

?????あれ 梃子切れないんだげど!
せ~~~のっせ ?? せ~~~のっせ ??? キレません

山車が格段に重くなったのと 車輪の偏平率(接地面)が高くなったせいでしょう

どうすっぺ!どうすっぺ!ですわね

対策は とりあえず大人数で頑張る もしくは何らかのテクニックを使うですが
経験がないからテクはありません

頑張るしかないです。
また梃子棒の形状もいろいろ試行錯誤しています。
角材のカタチ 丸太型  この丸太型が長く続いたと記憶しています
丸いほうが綱をまきやすいからですかな

本当に切れずに他町に迷惑をかけたと思います。
雨の夜などは必死ですね。
守横町が先の年番のその前の年番の際、守横通りを初めてこの山車で降りて行ったときは
梃子棒3本折ったと聞いています。
原因は、梃子が切れないとどうしても梃子棒を長く出してしまい、その先端に綱を
巻きつけるから、簡単に根元からぽっきり行くワケデス。
現在はハの字を捨てて前後貫通方式にしています。
切れることは切れるし機動力もアップしました。が
楽しい梃子切につきものの差し替えができなくなりました

*香丸町はハの字では切れないため前梃子は2本同じ方向に差していました。
2本で切るため切れやすくはなりましたが、左右に連続して切るようなことは
出来なくなりました。いちいち差し替えた後は綱を巻きつけるため時間がかかるわけです。
それでも最後の時期は差し替えながら山車を止めることなく綱を巻きつける技術を
身に付けました。必死の状況下での悲壮感あふれる会得ですかな?

前梃子と後ろ梃子の人間がアイコンタクトで息を合わせて4本同時に差し替えて
直後に前梃子に綱を巻きつけて引っ張る行為を山車を止めずにするのが
とても楽しかったのです。

それでも巡行がきつい時には秘密のジャッキを使うしかありませんでした。
近年はジャッキは使いますがそれ以前に めんどくせーからジャッキなしでいぐべ!
という気概がでてまいりました。

各町梃子まわりに関してはそれぞれ歴史と経験があると思います。
関係者に聞けるチャンスがあれば教えていただこうと思います。

前梃子をやる際 左前だと 道路と歩道の間の白線と車輪をじ~~~~っとみつめて
左右によってきたら梃子棒に体重をかけて微調整する
また 右前だと センターラインと車輪の位置を定位置に取り、やはり体重をかけて
微調整します。
日差しが熱い日中 雨の日 夜 前を見ずに下の地面ばかり見ていました。
食いかけの林檎飴やお好み焼きがあれば蹴ってどかし ビールの空き缶も蹴っ飛ばし
地道な作業が続きます。

それも最近は加齢とともに梃子棒の係のスタメンには入りません。
3日のうち1回くらいオーバーエイジのみんなで触るくらいですね。
でも 楽しいです

梃子切りはもちろん楽しいことばかりではなく危険もあります。
足を車輪から守ったり手のケガにも注意です
気を張りながらしないと危ない現場です。
年上や経験者が正しく教えてあげるのが大切ですね。

今年は森木の梃子をちょっとやらしてもらったので、来年はどこかにお願いして
体験させていただきたいと思います。